一般的な家庭での1500W、グラボ6枚稼働は危険かも?

みなさま、お久しゅうございます。ようやくリグが再稼働した安心感から、しばらく放心しておりました。

どうも、電力問題に苦悩し続ける@ゆっちーぬです。

さて、推奨記事にて推奨していたリグ環境ですが、単純にその部屋での主要な消費電力元がリグだけの場合は、推奨通りで問題ないです。

ただ、私の環境のように、リグを動かしつつ、デスクトップPC、ハイパワーな無線LANルータ、デュアルディスプレイ、ノートPCなど、他にもかなり電力を消費する機器が同じ室内(同じブレーカー範囲内)にある場合、推奨しているグラフィックボード6枚構成は危険であると、訂正させてください。

基本的に、20Aで安全ブレーカーが発動する場合、2000Wまでは使えますが、それ以上になると、おそらく、PSUが出力を下げてきます。

以前の記事にて、同じコンセントからは1500Wまでしか電源が取れないと書きましたが、20Aブレーカーを考慮すると、同じ室内からは2000Wまでしか取れません。

ということは、リグが1500Wしか使っていなくても、その他の機器が500Wを超えて動作すると、リグ自体の電源電圧が降下します。

(GTX1070 or RX570などのTDPが150Wのグラボ)6枚構成の場合、グラボのみで、150W * 6 = 900W、マザボやCPUなどの基盤部分で約200Wと考えても、1100Wです。

しかし、750WPSU*2にて給電する場合、どちらかに高い負荷がかかります。つまり、マザー+3枚とグラボ3枚構成にするか、マザー+2枚とグラボ4枚構成にするかです。前者の場合、マザー給電している側に650Wの負荷がかかります。後者ですと、グラボ4枚の方に600Wです。

PSUは750Wですので、給電効率は下がりますが、普通なら問題なく使えます。しかし、普通ではない状態、つまり、同一室内で2000Wを超える電力消費が起こったときが問題です。

ここからはいろいろ調査した結果と、実際に起こった現象からの推論でしかありませんので、必ずしも正確な理論ではありません。そりゃ違うぜベイベーってな意見は絶賛いただきとう存じます。

さて、マザーボードやグラフィックボードはICの塊です。ICチップはマザーを見ただけで幾つか見つかりますね。こんなやつです。

このICは今やほとんどCMOS(Complementary MOS)というP型MOSFETとN型MOSFETを相補的に利用する回路を使っています。(慣例的にBIOSのSRAMのことをCMOSと呼びますが、そちらもCMOSを使ったことから来た言葉です)

このCMOSの注意点として、ラッチアップ現象というものが起こるという点があります。

CMOSのPNPN結合部分は寄生サイリスタと呼ばれます。PNPN結合のアノードとカソードには普段電流は流れませんが、ゲート部分に信号が入力されると、アノードからカソードへ電流が流れます。この時の抵抗は非常に小さくなるので、大電流(貫通電流)が流れることになります。これをラッチアップと呼びます。

複数の機器をマザーボードに接続している場合、何らかの理由でどれかの機器がOFFの状態になっていると、そこに電流が流れ込みます。接続しているので、入力信号だけはいくわけです。

この、入力信号というのが、ラッチアップを発生させます。そして、そこに流れる大電流は、電源から先、全てに流れて、GNDまでショートする形になります。こうなると、どこで不具合が発生してもおかしくない状態になります。

と、まぁ、大まかにわかったわけですが、なぜそう判断できたのかが、こちら

逝ってしまわれたUSBメモリです。

二回、マザーボードの不調が起きて、二回とも違うUSBメモリが逝きました。
私の環境では、ethOSを使ってUSBメモリからブートしてますので、マイニングをしている=USBメモリに絶賛通電中ということになります。

そのUSBメモリが同じ状態で同じ逝き方をしたわけです。そして、USBメモリ自体は恐ろしいほど発熱しているではありませんか。

中を開けてみました(笑) コントローラICとメモリICでしょうか、裏表にICがついております。

 

ラッチアップ現象であると考えるなら、このUSBメモリの破壊は説明がつきます。さらにマザーボードがBIOSさえ立ち上がらないのも、ある程度予想がつきます。

と、いうわけで、冒頭にも云いましたとおり、電力供給が十分でないと判断できる環境では、その分、一度に稼働させるGPUの枚数は減らしたほうがいいというお話でした。

 


4 thoughts on “一般的な家庭での1500W、グラボ6枚稼働は危険かも?

  1. kn

    同じ分岐ブレーカーから供給される負荷が2000Wを有ったとしても、一般の住宅程度であれば電圧降下は多くて5V程度でしょう。普通コンセントは105V程度あるので下がっても100V前後でしょう。
    (分電盤からリグまでの配線が100mも有るとか、細い延長コード長々延ばしているなら話は別ですが)
    それにちゃんとしたATX電源なら90Vでも作動するはずです。
    単に2台のATX電源の二次側に電位差があるのではないでしょうか?

  2. ゆっちーぬ 投稿作成者

    コメントありがとうございます。
    ご指摘の通り、おそらく室内2000W使用でもそれほど影響はないと思われます。PSUについては、CORSAIRのRM750Xを二機で運用しておりますが、このPSUに関しても問題はないと考えております。
    ただ、750WのPSUにに対して、150Wのグラボ3枚とマザーボード給電を任せると、厳しいようです。80PLUS GOLDの承認は受けているものの、損失電力を考えると、1機につき600W程度で見ておいたほうが良かったようです。

  3. Dove

    一般家庭の場合,屋内配線には概ね1.6mmのVVFケーブルが使われています.
    このケーブルの(2芯,周囲温度30℃)における許容電流は18Aです.
    (20Aの配線用遮断機ですので本来2.0mmを使うべきだと思いますが,そうでない配線がされていることもあるようです)

    コンセントひとつあたり15Aはその通りですが,複数のコンセントを束ねる元の配線が1.6mmのVVFで配線されていることがあります.そうなると,20A流すのは危険です.
    特に夏のように周囲温度が上昇する場合や,断熱材に配線が隠れているような場合は温度上昇がさらに高くなり被服が溶け,芯線のショートの危険があります.

    また配線用遮断機は定格以上の電流を流した場合でも,超過分が少ない場合遮断まで大きな時間を要します
    例)定格の2倍流した場合→遮断は2分以内,定格の1.25倍→60分以内,定格の1.1倍→ほぼ落ちない

    従って,2.0mmのVVF(24Aまで)が使用されていることが確認できない限り,1系統の回路で15A以上流すのは危険です.

    ※PSUの力率を100%として考えたので1500W=15Aとして書いています.

  4. ゆっちーぬ 投稿作成者

    Doveさん、はじめまして。
    詳しいご指摘、ありがとうございます! 非常に勉強になります。

    なるほど、VVFケーブルの太さを確認した方が良いようです。本当に有難うございます。
    さっそく電気屋に確認を取りたいと思います。

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