低価格デジタルオシロスコープを物色してみる

いきなり涼しくなりましたね。皆さまお風邪などお召になっておられませんでしょうか。

台風は次々来るわ、合間合間に地震は来るわで、てんわやんわでございますね。

世の中では瓦屋さんが足りなくて、OBやら、遠方やらから、関西に応援に来ているそうです。それでも全く足りていないらしく、前々回の台風被害もまだ直っていないそうで。

今起業するなら、瓦屋絶推です。

さて、先日、格安オシロスコープを作ってみたわけですが、やはりそこは格安、ファンクションジェネレータ記事でも紹介したように、作った波はちゃんと見られるわけですが、さすがにいろいろな基盤に対して、あのオモチャだけで乗り切れるわけはありません。

(とは云いつつ、結構これだけで楽しいものです、波を見るのが好きなので)

格安オシロスコープを購入する前は、「本当にオシロスコープなど必要なのだろうか?」という気持ちもあり、まずは格安のもので自分が本当に必要としているか見極めようと思っていました。

しかし、ファンクションジェネレータで作った様々な波を観測するに、もう波が素敵でしょうがなく、もっと様々な波を見たいという欲求は抑えられるはずもなく。

様々な波の作り出す曲線にセクシーさすら感じられ、欲望は増すばかり。「ちょっと電波受信してくる!」的な勢いで、もっとしっかりとしたオシロスコープがほしい! となったわけです。

というわけで、表題です。さすがにいきなり数十万円クラスのものは買えませんし、自分がどこまで必要なのかもまだはっきりしていないので、数万円クラスの、いわゆる低価格帯オシロスコープをいろいろと物色してみました。

デジタルオシロスコープの性能

周波数帯域

オシロスコープで真っ先に論じられる、周波数帯域です。

やはり、ここは100MHz程度が一つの区切りかと思っています。と云いますのも、周波数帯域100MHzのオシロスコープで100MHzの信号は正確に測れません。

前の記事にも少し書きましたが、100MHz表記の周波数帯域オシロスコープは-3dB以内で計測できる信号範囲を云います。

-3dBの信号減衰は、おおよそ-0.7程度の減衰です。例えば100MHzのサイン波を観測する場合、サイン波の振幅が70%まで下がって観測されます。これは30%の誤差になりますので、観測結果としてはほとんど役に立ちません。

少し小さくて見にくいですが、以前作成したDSO150は周波数帯域100KHzです。そこに100KHzの信号を入力しています。

Vppは3.87と5Vよりも23%減衰しています。もう少し精密に計測すると、これが30%近くまで減衰します。

いわゆるガウシアンカーブというやつで、こんなグラフがあります。

グラフではfswの点で-3dB減衰していますが、周波数帯域100MHzのオシロスコープだと、この地点が100MHzになります。

オシロスコープで十分な確度と云えるのは誤差3%以内と云われており、その誤差で収まるのは、表記周波数帯域の約三分の一、例えば周波数帯域100KHzのオシロスコープであれば、30KHzまでです。

ですので、100MHzの周波数帯域オシロスコープを導入しても、実際に使えるのは30MHz程度までです。

これが50MHzのものであれば、16MHz程度とかなり低くなってしまいます。上を見ればきりがありませんが、やはり、100MHz(実測30MHz)は欲しいところです。

ただ、「百万単位でオシロやったるで!」という大人な方は、GHzオーダーのイカツイやつを狙うべきだと思います。そして、「あー、もっとイカツイやつが欲しい!」と沼にハマって、私に安く譲ってください(泣)

サンプリングレート

周波数帯域と同じくらい大切なサンプリングレートです。これは、アナログの波をデジタルの波に変えるのに、波を点で捉えます。(アナログをデジタル化するので、量子化と呼ばれるようです)その点をサンプル(採集)するスピードのことです。

適当なサイン波を思い浮かべてください。たくさんのサンプル(点)があれば、詳細な波が書けます。

しかし、この点が少ないとどうなるかというと

上の図のように実際の入力信号とは違った波になってしまいます。

上の画像にあるエイリアス周波数が出てしまう状態をエイリアシングといいますが、入力周波数に対してサンプリングレートが低いとこのような現象が起こり、またしても信頼できない波になってしまうのです。

では、どれくらいのサンプリングレートがあればいいのかと云いますと、(測定)周波数の5倍~10倍、できるだけ10倍が良いようです。(こちらも詳細な計算式があるのですが、低価格オシロスコープならば、おおよそでOKだと思います)

ということは、100MHzの周波数帯域オシロスコープでしたら、1GS/s(1Gサンプリング毎秒)のサンプリングレートがちょうど10倍ですので、よろしい感じかと思われます。

サンプリングレートには実時間サンプリングレートと等価時間サンプリングレートがありますが、現在はほとんど実時間サンプリングレートでの表記が行われておりますので、等価サンプリングレートについては省きます。実時間サンプリングレートはリアルタイムサンプリングレートとも記載されています。

メモリ長

デジタルオシロスコープはアナログ信号をデジタル信号に変換して(A/D変換)、一度メモリに保存し、それをディスプレイに表示します。

そのため、取得する信号の長さ(量)と保持できるメモリの量は密接に関係しており、ここもサンプリングレートと同じくらい大切な点です。もちろんサンプリングレートとも関係しています。

例えば、サンプリングレート1GS/sで5000点(5Kp)分のメモリ長で記録する場合、時間幅は5μsになります。これはオシロスコープの横軸が時間となっておりますので、5μs以上の幅に設定していますと、実質波形は途切れることになります。(実際はメモリ長に合わせてサンプリングレートが低くなります。すると当然、エイリアシングが発生する可能性が高くなるわけです)

つまり、サンプリングレートと時間軸設定によっては、メモリ長が足りなくなる場合があり、そうなると正確な波形にはならなくなってしまうわけです。(エイリアス周波数がでてしまう)

適切なメモリ長を求める簡単な式があります。

メモリ長 = サンプリングレート × 画面上の表示時間

例えば、画面の表示時間が20μsだとします。これにサンプリングレート1GS/sをかけると、20000で、20Kポイントのメモリ長が必要になります。

これが10Kポイントのメモリしかない場合には、サンプリングレートが約2分の1である500MS/s程度まで落ちて、表示されることになります。

表示時間が10μsならばそのままのサンプリングレートで表示が行われます。つまり、タイムベースの幅が広がれば広がるほど、サンプリングレートは落ちるわけです。(一度にたくさんの波を時間的に取得できない)

最近のデジタルオシロスコープならば、1GS/sのサンプリングレートでメモリ長が10Kポイント(10,000点)以上のスペックが普通にあります。長い信号を取得する(観測する)本格的な使い方をするわけではない個人利用の設定なら、そこまで意識せずとも大丈夫かと思われます。

ただ、もちろん長ければ長いほど良いのはPCメモリと同じですので、できるだけ長いものが良いのはもちろんです。

周波数帯域100MHz、サンプリングレート1GS/sならば、メモリ長は1Mpほどは欲しいところです。それならば、かなり長いタイムベースでも十分観測できます。

メモリ長に関しては、10Kワードや1Mワードなど、ポイントではなく、ワードで表されている場合があります。(なぜワードなのかはまたの機会に)

チャンネル数

これは一度に計測できる波の数です。つまり、1チャンネルでは、基盤などの計測点上、1点でしか波を測れません。2チャンネルになれば、計測点2点の波を同時に測れます。4チャンネルなら4点です。

しかし、これは多ければ良いわけではないようです。4チャンネルに増えた分、サンプリングレートが絞られることになります。具体的にはチャンネルが倍に増えるとサンプリングレートは半分になります。もちろん、4チャンネル搭載機で2チャンネルしか使わない場合は2チャンネル分のサンプリングレート(もとの値)が出ます。(一般的に2チャンネルは装備されています。格安オシロスコープは1チャンネルでしたが・・・)

基本的には2チャンネルで十分かと思われますが、もちろん4チャンネルの方がより多くの信号を同時に計測できますので、3点以上の計測点で同時観測を行いたい場合は、4チャンネルを選択しましょう。それ以上になるとロジックアナライザの領域になってくるそうですが、ロジアナは現在調査中なので、またの機会にご紹介します。

市場では、どうやら2チャンネルのオシロスコープの売れ行きが一番良いとのことです。価格的にも4チャンネルのものに比べてかなり優しいです。

その他

この他にも、分解能(垂直軸分解能、4bitや8bitなどで表される)や立ち上がり時間(電源投入からの波測定開始までの時間)、USBやLANインターフェースを搭載しているかどうか、FFT(fast fourier transform)などの解析機能はどのようなものがあるか、どのようなトリガ機能があるか、などなど見るべきところは多くありますが、むしろ多すぎて、どれが自分に必要か、ピンポイントではなかなかわかりません。

ここは練習機とみなして、周波数帯域、サンプリングレート、メモリ長の3つにターゲットを絞ってある程度決めるしかないと思います。

もちろん、目的がすでにある場合、それに見合った機能をもつオシロを購入すべきですが、私のように、「とりあえず波をみたいんだ!」的な変人は、あまり難しく考えすぎると、結局選びきれないという憂き目にあいそうなので、ある程度大まかに考える必要があります。

注:今の知識で書いておりますので、間違った認識もあるかもしれません。その場合はご自身の調査結果を信じてください。また、間違いのご指摘もどしどししていただけるとありがたいです!

低価格帯オシロスコープ

意外と優秀中華系オシロスコープ

中国の深センがハードウェアのシリコンバレーと呼ばれるようになってから久しいですが、中華系メーカーのオシロスコープのコスパがかなりよろしいです。

また、一昔前の安かろう悪かろうは一概に全てそうとは云えなくなっています。特に名前が知られているメーカーはある程度信用できると思います。(信用できないところはまだまだ残っておりますが・・・)

中華系オシロで人気No.1はなんといってもRIGOL、中でもDS1054Zは大人気です。


RIGOL (リゴル) デジタルオシロスコープ 50MHz 4ch 1GSa/s 【国内正規品】,DS1054Z

こいつはなかなかのコスパです。50MHzと少し周波数帯域は狭いですが、なんと、これの上位機種であるDS1104Z(100MHz 4ch 1GSa/s)と中身はほぼ変わらず、ソフトウェアをちょちょいといじるだけで、100MHzにパワーアップするようです。

「DS1054Z 100MHz」や「DS1054Z 改造」などでググってもらうと、たくさん記事が出てきます。動画もあります(笑)もちろん自己責任なので、やっちまうと補償は受けにくいと思われます。

スペックは周波数帯域50MHz(100MHzにアップグレード可能)、サンプリングレート1GS/s(1チャンネル時)、メモリ長12Mポイント、チャンネル数4chと申し分ありません。

大人気の理由がうかがえます。

他にもRIGOLのシリーズはどれも結構コスパが良いと思われます。ただ、数万円以内(およそ五万円を基準)となると、このあたりの機種が限界かなぁといった感じです。

お次がHANTEKです。

こちらはコスパだけでいえばRIGOLよりも上だと思います。ただ、名前があまり知られていない(RIGOLほどはという意味で)というあたりで、やはり人気はそこまでありません。


デジタルオシロスコープ 100MHz帯域 2ch ハンテックDSO-5102B

例えば上の商品などは、2chながら、帯域100MHz、サンプリングレート1GS/s、メモリ1Mpと十分なスペックで、お値段はRIGOLのDS1054Zより安いです。

(HANTEKで注意点があります。型番の最後のアルファベットがPのものはメモリ長がBに比べてかなり少なくなっています。なのにお値段はあまり変わらないので、どのシリーズにしても、末尾はBを選んだほうが良いと思われます)

HANTEKシリーズはあまり日本で売られていませんので、Aliexpressやebayなどで探すほうが多く見つけられます。

ただ、海外から5万円程度のブツを輸入するわけですから、関税がかかる場合があります。さらに、送料はそれなりになってしまうので、できれば日本のAmazonなりで購入したいところです。

もう一つ中華系でOWONがあります。

こちらもHANTEKに負けずコスパが高いですが、やはり日本では有名でなく、さらに外観が非常にオモチャっぽい(笑)ということで、避ける方もいるようです。


OWON SDS1102 デジタルオシロスコープ8ビット、2チャンネル、100MHz帯域幅、1GS/sサンプルレート、7″カラーLCD、水平スケール(s/div):2ns/div〜1000s/div
わざわざ商品タイトルにハイコストパフォーマンスと打っているだけあって、安いです。周波数帯域100MHz、サンプリングレート1GS/sでこの値段は他にはあまり見られません。

しかし、このモデルはメモリ長が10Kポイントと(ロングメモリと商品説明にうたっている割に)少なめです。しかしながらサンプリングレート1GS/s、10Kポイントですから、それで十分な使い道であれば、かなりお財布に優しいお値段と思われます。

どっこい頑張る国産オシロスコープ

価格と信頼性が同時に高いと評判の国産オシロスコープですが、意外に低価格気味オシロスコープを投入しています。

やはり海外勢、とくに中華系オシロスコープの格安具合に押されてのことでしょうか。こういうグローバル化は歓迎です。

低価格で頑張っているのが岩通(IWATSU)です。


岩崎通信機 (IWATSU) デジタル・オシロスコープ 100MHz 2ch : DS-5110B

こちらはちょうど10万円と、ギリギリ数万円台をオーバーしていますが、周波数帯域100MHz、サンプリングレート1GS/s、メモリ長1Mポイントと、十二分スペックで、この値段です。


岩崎通信機 (IWATSU) デジタル・オシロスコープ 50MHz 2ch : DS-5105B

50MHz、2ch、1GS/s、1Mpでしたら、ちょうど5万円台です。(こちらは残念ながら100MHzにパワーアップする改造はなさそうです)

散々中華オシロを紹介しておいてなんですが、日本製の良いところは、サポートが迅速というところかと思われます。

中華がぞんざいとは云いませんが、同じ対応にしても、どうしても海外と国内ではスピードに差が出ます。

無償修理にしても、送って帰ってくるだけで、かなりの時間がかかりますし、連絡するだけでも、日本ほど迅速にメールが返ってくることはありません。

何らかのトラブルや追加部品の必要などがあった場合、日本製の方が安心というのは、全ての電子機器に云えることだと思います。

あと、中華製はだいたいマニュアルが英語です。Webで探せば日本の使っている方が、何らかの紹介をしてくれている場合も多いですが、それでも多くの情報は基本英語です。問い合わせも英語です。返答も英語です。ただ、正規日本代理店があるメーカー(RIGOLなど)はある程度日本語に対応しているようです。

「英語いやー!」という方は、やはり日本製の方が安心かもしれません。(今はグーグル先生の翻訳がある程度使えるようになっていますので、そこまで英語にハードルはありませんが)

日本製には他にも横河のオシロスコープなどがありますが、かなり高価です。低価格帯のものは私が調べた限り、岩通一択かなという感じでした。

大御所オシロスコープ

個人利用で有名オシロといえば、みんな大好きテクトロニクスです。

テクトロニクスのデジタルオシロスコープもやはり低価格帯のものを出していて、ここにも中華の波を感じます。(テクトロニクスはアメリカの会社です)


Tektronix (テクトロニクス) ベーシックオシロスコープ 50MHz・1GS/s・2ch TBS1052B

この辺りが5万円程度で買える限界のようです。スペックと相談すると、コスパ的には中華製に劣りますが、このテクトロニクスはなんといっても情報が多いです。Webでオシロの日本語情報なら、やはりテクトロのこの辺りのスペックのものが多いので、そのへんでは中華製よりも安心です。

またテクトロニクスは人気があるので、ヤフオクなどでもよく出ています。中にはかなり状態の良いものもありますので、中古でも良いという方は、探してみるのも良いかもしれません。

一時期FBに広告が出まくっていたキーサイトも有名です。ここはもともとagilentとしてオシロを販売していましたので、agilentで検索しても出てきます。


キーサイト (KEYSIGHT) InfiniiVision 1000X オシロスコープ 50MHz 2ch 1GS/s, EDUX1002A

こちらはテクトロの50MHzと同じようなスペックで、6万円代です。(メモリ長がテクトロの上記機種だと25Kポイント、こちらの機種は100Kポイントと差があります)

コスパ的にはテクトロとキーサイトは同じくらいかなと見ています。ただ、キーサイトもまた有名なので、Webでの情報は事欠きませんし、ここは自社サイトがオシロの使い方を詳細に説明していますので、わかりやすいです。

ただ、テクトロと違って、ヤフオクにはあまり出回っていないようです(私が調べた限りなので、時期によって変わるかもしれません)

有名なところは保証なども手厚い代わりに、高い。というのが見識です。個人利用のオシロならば、そこまで保証を求める必要もないかもしれません。

(私個人としては、波が見られれば幸せなので、そこまで厳密さを求めていませんので)

まとめ

個人的には中華製大好き、英語ドンと来いなので、HANTEK辺りの200MHz機種を狙いたいところですが、日本製の岩通もなかなかどうして、素晴らしいといったところです。

RIGOLのDS1054Zは人気がありすぎて、そこまで高コスパには見えなくなっています。ただ、魔改造で100MHzにパワーアップにも魅力を感じる次第。いろいろ迷っています。

あと、中古品でもOKという方は、ヤフオクやebayなどのオークションで物色することもおすすめです。

テクトロニクスは企業放出が多いのか、結構オークションで出回ってます。ヤフオクの商品説明など読んでいますと、オシロの背景やその企業の背景が透けて見えてきて、なんだか複雑な気分になります。

いくつか見てきたオークションのオシロスコープには、かなり状態の良い商品が半額以下で出されている場合もあります。デジタルオシロスコープは個人の需要があまりないのかもしれません。

(企業で導入する場合は、オークションなど使わず、直接BtoBにて導入するでしょうから、ヤフオクやメルカリなどで出ているオシロは個人が購入することがほとんどだと思われます)

ちなみに、オークションで探す場合は、「オシロスコープ」と検索するのではなく、ちゃんと「デジタルオシロスコープ」と検索しないと、アナログオシロスコープが大量に出てきます。ご注意ください(笑)

しばらく、AmazonとAliexpressとヤフオクとを観察して、「これだ!」というものを探してみたいと思います。

それでは本日はこのへんで。アディオスアミーゴ(・∀・)


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