リチウムポリマーバッテリーに中の人はいない

みなさま、どうも、ゆっちーぬです。

さて、先日、今のスマホ(ASUS Zenfone 3)にしてから早くも二度目のバッテリー交換をいたしました。

一度目の時はSMAケーブルをぶっこ抜いてしまって、大変な事になったものです。

あの時の記事を書く数週間前にバッテリーは換えたので、はて・・・、一年持っていないような・・・(泣

しかしながら、今回も懲りずにチャイナバッテリーを装着させました。(笑)

その交換した(膨らんじゃった)方のバッテリーですが、ここでわたくし、この膨らみの原因や如何に? と疑問に思っちゃいまして。

はい、リチウムポリマーバッテリーの分解を行ってみました。

著者は特殊な訓練を受けたバカです。皆さまは絶対に真似しないでください

大変危険な行為ですので、本当に真似しないでください。真似してナンマイダーになっても筆者は責任を持ちません

まずはこちら、取り外したバッテリーです。スマホの裏蓋を押し上げるには十分すぎる膨らみがあります。一体いつ私はスマホに枕を仕込んだんだろうってなくらい膨らんでいるのですが、写真では分かりづらいです。

上のぽっちりは実はスマホのパワーサプライ用端子とつなげるための大事な端子だったりします。細かくて見えないですが、この凹に対して、スマホ側が凸端子があり、それをカチッとはめないと、バッテリーを認識しません。

裏側には「絶対分解するなよ!」との前振りが・・・

他にもいろいろ書いております。いろいろやっちゃう人がいるんでしょうねぇ。

はい、前振りに従って、サクッとシール部分を剥がします。

中はこれ、何製の包なんでしょうか、アルミっぽい感じですが、ステンレスを薄くしたような感じでもあります。(調べたところ、どうやらアルミラミネートらしいです)

先程のぴょっこり飛び出していた端子の根本部分がむき出しになりました。ペッコペコに折り畳まれていたので、慎重に伸ばしました。

剥がしてみたところ、チップ抵抗4つとチップキャパシタ1つ、ICチップが2つあります。2枚並んだ端子部分はプラスとマイナスっぽいですね。右下の端子はスマホ接続端子のちょうど裏側です。

調査したところ、どうやらこの部分の回路がDC-DC回路になっており、過充電保護や過電流保護、また適正電圧での(スマホへの)給電を握っている大事な部分らしく、良い電池というのは、この部分の回路での電導効率が高いもの(90%に届くものもあるとか)だそうです。悪いものになると、電導効率が60%程度しかないものもあるらしいので、大きな違いですね。

中華製はどうかって? さて、どうなんでしょうか。近頃は、深センを始めとして、中国からのエレクトロニクスが活発です。深センはハードウェアのシリコンバレーと呼ばれるほどです。10年前のように、中華製=すぐダメになるという構図は変わりつつあると思います。

まぁ、安いリポバッテリーは、所詮安い部品と安い回路で出来上がってると思います。

さて、端子を取り外した部分です。さあ、黄色いテープと周りのアルミラミネートの包装を取り外していきます。

はい、中身。

膨らんでいたのは、袋の部分で、内部はきれいにぺったんこでした。アルミラミネートの包装はシールのように簡単には剥がれず、カッターとニッパーを使って穴を開けて、引っ剥がしました。

さて、この中心部、なにやらアルコールの匂いがします。アルコールと言ってもお酒ではなく、注射の時の消毒脱脂綿そのまんまの匂い。

これは電解質に使われる有機溶剤(アルコールやアセトン、エタノール)の匂いですね。リチウムイオンバッテリーと同じく、リチウムポリマーバッテリーも電解質に使われる溶媒は同じなようです。

間違いなく引火性は高そうな匂いです(笑)

中が気になりますね~。

画像のように、外側のアルミラミネートに覆われて、布か紙っぽい感じの物質が多重に織り込まれております。この部分がいわゆるポリマーなんでしょうか。

ここらで、バッテリの電圧測定。

やはり端子はプラスとマイナスでした。ご覧のように4.2Vですので、満充電時の電圧をそのまま放出してる感じです。定格電圧は3.7Vらしいので、あのICやら抵抗やらがついてる端子が調整しているのですね。とりあえず、この状態でも、電池としては生きております。

さあ、それでは、どんどん参りましょう。

あれよあれよという感じで、ペリペリペリペリと剥がれて、織り込まれていた部分が御開帳です。左の犬は、匂いにつられて、なんぞなんぞ? となっている、うちの大福です。

こちらがプラスとマイナスの端子が出ている端っこ。一番外側です。薄い膜の下、銅が見えています。ここでもアルコールの匂いがします。

見る限りでは、長い方の金属片(写真中央の飛び出した部分)が銅に当たるようになっているので、正極は銅との反応っぽいですね。正確にはおそらくリチウム金属化合物なんですかね。どう見ても銅ですが・・・。

触るとほんのり温かいです。これは発熱しておりますね。

ベロベロベローンとかなり長いです。画像下方は剥がした膜です。

そして、さっきから黒い何かが剥がれていたり、剥がれながらもくっついていたりしていますが、これ、どうやら炭です。

リチウムポリマーバッテリーの負極は炭素らしいんです。

裏側(織り込まれている外側)の膜を剥がすと、一緒に炭も剥がれます。

内側は炭がピッタリとくっついており、触ると銅ごとボロボロ落ちていきます。

このように、銅膜がそのままむき出しになっている部分もあり、どうやらこの炭の下には銅の皮膜が隠れていそうです。

というわけで、二番目の前振りを実行に移したいと思います。

「Do not expose to the battery to liquid~」

つまり、水に晒してみろというわけですね。

というわけで、ひとかたまり、水に晒してみました。これ、かなり発熱します。手で持ってると熱いです。

熱いので、サバ缶の空き缶に入れて、水につてけてみました。

反応してますね、泡ぶくぶくです。

この炭を洗い流してみると。

きれいな銅箔が出てきました。アルミホイルよりも薄い感じで、少し力をいれるだけでペリペリ破れます。

さて、若干面倒くさくなってきたので、残りのポリマーを一気に水と反応させてみます。

いきなりぶくぶくと泡立ってきました! サバ缶が温かくなってきます。

ちなみにこのサバ缶、かなり美味しいです。味噌煮です。噂では水煮のほうがカロリー低めで良いらしいですが、私は味噌煮派です。何故か懐かしい味・・・小学生くらいの給食を思い出しました。このノスタルジーは一体・・・。

一方、サバ缶内部、泡立ちが強くなってきたところで、かなり、なにかしらの化学の香りがしてまいりました。

ちょっと透き通らない感じの、刺激臭です。これはなんとなく嫌な予感がします。

というわけで、お外へやってきました。ここならば多少なにかしらの化学的なガス的なものが発生しても大丈夫です。(うちのお外はだだっ広い駐車場やガレージの前で、近くに私以外の人はおりません)

水が少ないと反応が止まってしまうので、さらに追い水です。ぶっくぶくに反応中(笑)

どんどん炭の部分が剥げていきます。

最後は少し残った炭の部分を洗い流して、あら綺麗、銅箔の塊ができました。

以上、最終的には銅箔となって、その後スタッフが美味しくいただきました。

と、いうわけで、リチウムポリマーバッテリーの中はこんな感じで、誰もいませんでした。

最後に、繰り返しになりますが、多分、大変危険な行為ですので、絶対真似しないでください。なんかかなり発熱してましたし、さらに、水をかけてからは、ガスまで発生してました。

とりあえず、どうしても分解して水をかけなければならない状況になった場合には、引火性が強い触媒を使ってそうなので、火の元の近くではバラさないでください。おそらく燃えます。あと、水をかけるなら、屋外で。あのガス、長時間吸い込むと、多分気分が悪くなるだけじゃ済まないと思います。上記二点だけは守りましょう。

現場からは以上でした。


2 thoughts on “リチウムポリマーバッテリーに中の人はいない

  1. BIKER

    ずいぶん昔のブログだけど、こういうの好きだなぁー♪

    これからも安全に解体ショーたのしんでくださいね。

    楽しく読ませていただいたので、足跡としてペタコメ。

  2. ゆっちーぬ 投稿作成者

    コメントありがとうございます!
    最近、水冷PCも作っちゃったし、新しくデバイスも入手してないんで、更新がかなり滞っているんです(泣)
    また、なにかおもしろいものを入手したら、色々やってみたいんで、思い出したら覗いてやってください!

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